○三種町職員懲戒処分等の指針
平成20年9月1日
1 目的
職員の懲戒処分等の標準的な量定及び公表の基準を明らかにすることにより、町民の公務に対する信頼感を確保し、職員が公務員として高い倫理観を保持し、町民に信頼される職員として行動するよう本指針を制定する。
2 指針の構成
第1 基本事項
この指針は、任命権者が懲戒処分等を行う際の職員の非違行為について、標準的な処分量定を掲げたもので、具体的な処分量定の決定に当たっては、
1 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか。
2 故意又は過失の度合いはどの程度であったか。
3 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか。
4 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか。
5 過去に非違行為を行っているか。
などのほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含めて総合的に考慮の上判断するものとする。このため、個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる処分量定以外とすることもあり得るところである。
また、標準例に掲げる取扱いの他、人事院の懲戒処分の指針、他市町村の例を参考にしつつ判断するものとする。
【標準例に掲げる処分量定より重いものとすることが考えられる場合の例】
1 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき。
2 非違行為を行った職員が管理職又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき。
3 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき。
4 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき。
5 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき。
【標準例に掲げる処分量定より軽いものとすることが考えられる場合の例】
1 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき。
2 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき。
第2 懲戒処分等の種類
1 懲戒処分
地方公務員法(昭和25年法律第261号)第29条の規定により、職員の非違行為に対して懲罰として行う次の処分
(1) 免職 職員の身分を意に反して失わせる処分
(2) 停職 1日以上6月以下の間、職は保持するが、職務に従事させず給与も支給しない処分
(3) 減給 1日以上6月以下の間、給料の10分の1以下を減ずる処分
(4) 戒告 非違行為に係る責任を確認させ戒める処分
2 指導上の措置
監督の地位にある者が、職員の非違行為に対してその責任を確認させ、将来を戒めるために行う行為で、1に当たらない次のもの
(1) 訓告 任命権者名で文書により行う注意
(2) 文書厳重注意 任命権者名で文書により行う注意
(3) 口頭厳重注意 任命権者名で口頭により行う注意
第3 対象者
地方公務員法第3条第2項に規定する一般職の職員(臨時的任用職員及び非常勤職員を含む。)
第4 標準例
1 一般服務関係
項目 | 行為等の態様 | 標準量定 |
欠勤 | (1) 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員 | 減給又は戒告 |
(2) 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員 | 停職又は減給 | |
(3) 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員 | 免職又は停職 | |
遅刻・早退 | 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員 | 戒告 |
休暇の虚偽申請 | 病気休暇、特別休暇又は介護休暇について虚偽の申請をした職員 | 減給又は戒告 |
勤務態度不良 | 勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員 | 減給又は戒告 |
職場内の秩序を乱す行為 | (1) 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員 | 停職又は減給 |
(2) 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員 | 減給又は戒告 | |
虚偽報告 | 事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員 | 減給又は戒告 |
違法な職員団体活動 | (1) 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は職場の活動能率を低下させる怠業的行為をした職員 | 減給又は戒告 |
(2) 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおった職員 | 免職又は停職 | |
秘密漏えい | (1) 職務上知ることができた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | 免職又は停職。ただし、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした場合は、免職 |
(2) 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | 停職、減給又は戒告 | |
個人の秘密情報の目的外収集 | その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員 | 減給又は戒告 |
個人情報の盗難、紛失又は流出 | 過失により個人情報を盗まれ、紛失し、又は流出させ、公務の運営に支障を生じさせた職員 | 減給又は戒告 |
個人情報の不当利用 | 職務上知ることのできた個人情報を自己又は第三者の利益のために利用する等、不当な目的で使用した職員 | 免職、停職又は減給 |
政治的目的を有する文書の配布 | 政治的目的を有する文書を配布した職員 | 戒告 |
入札談合等に関与する行為 | 町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合をそそのかすこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員 | 免職又は停職 |
兼業の承認等を得る手続のけ怠 | 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員 | 減給又は戒告 |
公文書の不適正な取扱い | (1) 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員 | 免職又は停職 |
(2) 決裁文書を改ざんした職員 | 免職又は停職 | |
(3) 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員 | 停職、減給又は戒告 | |
セクシュアル・ハラスメント (他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動) | (1) 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び、若しくはわいせつな行為をした職員 | 免職又は停職 |
(2) 相手の意に反することを認識した上で、わいせつな言葉、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等(以下「性的な言動」という。)を繰り返した職員 | 停職又は減給 | |
(3) (2)の場合において、性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積により精神疾患に罹患した場合 | 免職又は停職 | |
(4) 相手の意に反することを認識の上で、性的な言動を行った職員 | 減給又は戒告 | |
パワー・ハラスメント (同じ職場に働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為) | (1) パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員 | 停職、減給又は戒告 |
(2) パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員 | 停職又は減給 | |
(3) パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員 | 免職、停職又は減給 | |
公務員倫理違反 | (1) 賄賂を収受した職員 | 免職又は停職 |
(2) 利害関係者から供応接待を受けた職員 | 停職、減給又は戒告 | |
法令等違反・不適正な事務処理等 | 職務の遂行に関して法令等に違反し、又は不適正な事務処理等を行うことにより、公務の運営に重大な支障を与え、又は町民等に重大な損害を与えた職員 | 停職、減給又は戒告 |
2 公金等取扱い関係
項目 | 行為等の態様 | 標準量定 |
横領 | 公金又は公有の財産を横領した職員 | 免職 |
窃盗 | 公金又は公有の財産を窃取した職員 | 免職 |
詐欺 | 人を欺いて公金又は公有の財産を交付させた職員 | 免職 |
紛失 | 公金又は公有の財産を紛失した職員 | 戒告 |
盗難 | 重大な過失により公金又は公有の財産の盗難に遭った職員 | 戒告 |
公有財産の損害出火・爆発 | 故意に、職場において公有の財産の出火、爆発を引き起こした職員 | 減給又は戒告 |
給料・諸手当の違法支払・不適正受給 | 故意に法令に違反して給料・諸手当を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして給料・諸手当を不正に受給した職員 | 減給又は戒告 |
公金又は公有の財産の処理不適正 | 自己保管中の公金の流用等公金又は公有の財産の不適正な処理をした職員 | 減給又は戒告 |
コンピュータの不適正使用 | 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員 | 減給又は戒告 |
3 公務外非行関係
項目 | 行為等の態様 | 標準量定 |
放火 | 放火をした職員 | 免職 |
殺人 | 人を殺した職員 | 免職 |
傷害 | 人の身体を傷害した職員 | 停職又は減給 |
暴行・けんか | 暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったとき。 | 減給又は戒告 |
器物損壊 | 故意に他人の物を損壊した職員 | 減給又は戒告 |
横領 | (1) 自己の占有する他人の物(公金及び公有の財産を除く。)を横領した職員 | 免職又は停職 |
(2) 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員 | 減給又は戒告 | |
窃盗・強盗 | (1) 他人の財産を窃取した職員 | 免職又は停職 |
(2) 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員 | 免職 | |
詐欺・恐喝 | 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員 | 免職又は停職 |
賭博 | (1) 賭博をした職員 | 減給又は戒告 |
(2) 常習として賭博をした職員 | 停職 | |
麻薬等の所持等 | 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員 | 免職 |
酩酊による粗野な言動等 | 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員 | 減給又は戒告 |
淫行 | 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員 | 免職又は停職 |
わいせつ行為 | (1) 不同意性交等、不同意わいせつ、公然わいせつ又はわいせつ目的を持って体に触れるなどの行為をした職員 | 免職、停職又は減給 |
(2) 公共の場所等において痴漢行為若しくは盗撮行為を行い、又は人の住居等を密かにのぞき見した職員 | 停職又は減給 | |
ストーカー行為 | (1) ストーカー行為をした職員 | 停職、減給又は戒告 |
(2) ストーカー規制法に基づく警察による警告を受けたにもかかわらず、なおストーカー行為をした職員 | 免職又は停職 |
4 交通事故・交通法規違反関係
三種町交通事故等職員の懲戒等に関する基準(平成18年三種町訓令第12号)によるものとする。
5 監督責任関係
項目 | 行為等の態様 | 標準量定 |
指導監督不適正 | 部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員 | 減給又は戒告 |
非行の隠ぺい・黙認 | 部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠蔽し、又は黙認した職員 | 停職又は減給 |
第5 内部通報
1 非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、いかなる不利益も受けないものとする。
2 非違行為の事実を自ら発覚前に申し出た職員に対しては、懲戒処分等の量定を軽減することができるものとする。
第6 公表基準
1 公表する懲戒処分
次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。
(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分
(2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分
2 公表する内容
事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする。
3 公表の例外
被害者又はその関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合等1及び2によることが適当でないと認められる場合は、1及び2にかかわらず、公表内容の一部又は全部を公表しないことも差し支えないものとする。
4 公表の方法
処分が決定された後、速やかにホームページ、その他適宜な方法により公表する。
第7 昇給のための勤務成績の判定基準
処分等の区分 | 判定基準 |
1 停職された職員 | 昇給なし |
2 減給された職員 | 昇給なし |
3 戒告された職員 | 2号俸を減ずる |
4 訓告された職員 | 1号俸を減ずる |
附則
この指針は、平成20年9月1日から施行し、同日以後に処分事由となる法令違反等があった事案について適用する。
附則(平成29年7月13日)
この指針は、平成29年7月13日から施行する。
附則(平成30年10月1日)
この指針は、平成30年10月1日から施行し、同日以後に処分事由となる法令違反等があった事案について適用する。
附則(令和2年12月14日)
この指針は、令和2年12月14日から施行し、同日以後に処分事由となる法令違反等があった事案について適用する。
附則(令和6年4月1日)
この指針は、令和6年4月1日から施行し、同日以後に処分事由となる法令違反等があった事案について適用する。